この授業は質問を採点の対象にしています。 詳しくは、 ガイダンス P6を見て下さい。
回答が遅れて申し訳ありません。 1ヶ月以上経っていますね。 回答は必ず書きますので、これに懲りずにまた質問して下さい。
ホームページで公開不可、とは書いてなかったものを、掲載しました。 (掲載に関して間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上は私の回答です。 また、提出したのに、載っていない人は、 連絡して下さい。 採点されていない可能性があります。
質問 1. (採点結果: 38点)丸1 不規則な運動は、非周期性があるのはわかりましたが、 不可逆性はないのですか。 この場合、「不可逆性」の定義が難しいです。 良く「ビデオを逆まわしにしてもわからないのが可逆」という言い方をしますが、 そういう意味ではブラウン運動もわからないので可逆といえます。 また、何か方程式があって、その方程式の性質を議論することも多いのですが、 単に不規則な運動という時は、特に方程式は指定されないので、議論出来ません。 ランジュバン方程式については、次に質問をもらっています。 丸2 条件(5)、(6)式がないとき、ランジュバン方程式において、t -> -tとすれば、 ある状態から出発して、その状態になる為には、 初期状態はどのようになるかわかる方程式になると思うのですが、 この解釈はまちがっているのでしょうか。 簡単のために1変数で考えると、X(t)からX(0)がわかるか、という問題ですね。 これは、丸1の質問の解答と正反対なのですが、X(t)しかわからなければ、X(0)はわかりません。 授業で、 同じX(0)から出発してもランダム力のためにX(t)が一意的に決まらないという話をしました。 それと逆で、X(t)からもX(0)を一意的に決めることは出来ません。 同じX(t)でも違うX(0)になることがあるのです。 丸3 ランダム方程式のランダム力を式(3)、(4)で仮定するといわれましたが、 この式から、キュムラントを思いうかべてしまいます。 3次以上のキュムラントは、ゼロなのでしょうか? もし、ゼロならば、R(t)の確率分布関数は、ガウシアンになるので、 P[R(t)]はガウシアンという仮定を式(3)、(4)の仮定に付け加えるべきだと思います。 これは鋭い質問ですね。 言われるようにランダム力の確率分布を仮定しなければ、 ランジュバン方程式を実際に計算することが出来ません。 そして多くの場合、ガウス関数を仮定します。 しかし、問題によっては、特にランダム力の確率分布を仮定しなくても、 授業で説明したプリントに書いてある条件だけで解ける場合もあるのです。 たとえば、宿題 4 とかがそれで、必ずしも確率分布は必要ありません。 したがって、2回目の授業では仮定をこれだけにとどめました。 そして、FP方程式のところで、「ガウス過程」というのは加えて仮定しました。 丸4 なぜ相関関数は、時間平均でとらないのですか? とらない事で、うまく記述できるから、本質的でないのかもしれません。 平均を単に時間で積分するという定義にしてしまうと、 時間で成分した後は、時間の関数になりませんから、時間相関関数には具合悪いのです。 定常過程の場合には、うまく定義する方法がありますが、多少複雑ですし、 少し説明が必要なので、ここではしませんでした。 しかし、この回答を作っている段階では、 すでに時間平均で時間相関関数を定義する方法を授業で説明したので、 もう疑問は解決しているかも知れませんね。 回答が遅くなって申し訳ありません。 丸5 水分子1つ1つを考えずに、1つの撃力として、粗視化したモデルだと、 ランジュバン方程式は考えられます。 統計力学だと、温度のような、 粗視化した影響を反映するようなパラメータが必ず入ってくると思うのですが、 ランジュバン方程式ではDが、そのパラメータだと思ってよいですか? 例えば、水温で、水分子のぶつかり具合が変わると思うので、 2時間相関関数<R(t)R(t')>が変わると思うからです。 これもよい質問だと思います。 まったくそのとおりです。 ブラウン運動の場合、水分子を粗視化した影響はすべてDに入っています。 ただし授業では、 ランジュバン方程式はブラウン運動に限らずもっと一般的に使えることを強調しました。 一般的な場合にはちょっと難しい問題があって、 つまり水分子に対応するものが何かわからない場合も多いのです。 たとえば、ランジュバン方程式の例として熱雑音の回路をやりました。 この場合は、DだけでなくF(X)も粗視化したといえなくもありません。 採点ですが、目標が4つあって、丸1は最初の「不規則な運動の特徴」に関連していて、 その特徴の1つである「予測できない」は、理解していると思えるので、13点。 丸3と丸5から2つめの目標「ランダム力についての仮定」はほぼ理解しているとわかるので、25点。 あわせて38点です。 質問 2. (採点結果: 20点)質問1 時間平均を使うか、サンプル平均を使うかは、定義の問題なので、どちらでもかまいません。 ここでは簡単な方で説明しました。 時間平均が「当然」ゼロになるのを「当然」と感じない人に説明するのは結構難しいです。 後でやったように定常過程を考えれば系統的に証明できますが、 ここではサンプル平均を使って仮定という形で説明しました。 質問2 何を「不規則」に感じるかは、厳密には人によって違うので難しいですね。 そうですか、ガタガタしていなくても不規則に感じますか。 ただし、感じるのは人によって違いますが、数学的にいえることがあって、 滑らかな場合は、今の時刻の時間微分を測れば、原理的には、 次の時間の予想が出来るのです。 つまり、厳密に言えば、Bの条件からAの条件を導けます。 そういう意味では、Bだけが成り立って、Aが成り立たない場合はありません。 それなら、Bの条件は要らないということになりますが、 ランダム力の性質に自然につなげるために、あえて条件に加えました。 採点ですが、質問1は、2番目の目標「ランダム力についての仮定」の4つの内、 平均について理解しているとわかるので、25点の1/4の7点。 質問2は、1番目の目標「不規則な運動の特徴」のうち 「軌道がガタガタしている」がわかっているので、13点。 あわせて20点です。 質問 3. (本人の希望で採点せず)質問1 言葉の意味については、とても難しい問題で、人によって同じ言葉で違う意味を表すのは、 日常会話でもよくあることです。 物理でもそういうことは珍しくないのですが、 それは言葉の問題は物理にとって本質的ではないからです。 その先生がどういう文脈で言われたのか分かりませんが、 ランダムをそのような意味で使うのは私は聞いたことがありません。 もちろん、私の勉強不足の可能性もあります。 いずれにしろ、大事なのはR(t)の名前ではなくて、その性質とか物理的な意味です。 ただし、名前が無いのは不便なので、授業では「ランダム」力と言わせて下さい。 聞き間違えということも考えられます。 私が先生の言われたことで思い出すのは、「擬似乱数」です。 乱数というのは「ランダムな」数の集まりですが、計算機上でつくる必要が時々出てきます。 しかし、真の乱数を計算機上で発生するのはおそらく不可能で、出来るのは「擬似乱数」です。 乱数は、「ランダム」ですが、擬似乱数は長い周期で同じ数が再び現れます。 |