質問と回答 (採点対象)

第4回 (10月25日)

この授業は質問を採点の対象にしています。 詳しくは、 ガイダンス P6を見て下さい。

回答が遅れて本当に申し訳ありませんでした。

ホームページで公開不可、とは書いてなかったものを、掲載しました。 (掲載に関して間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上は私の回答です。 また、提出したのに、載っていない人は、 連絡して下さい。 採点されていない可能性があります。


質問 1. (採点結果: 10点)

丸1 日本語の問題かも知れませんが、2nd FDTは 「揺動と散逸がつり合わなければ平衡状態ではない」と解釈しても良いですか。

「日本語の問題」というがよくわかリませんでしたが、閉じた系では、 「揺動と散逸がつり合わう」ことは、「平衡状態」の必要十分条件です。 たとえば、ブラウン運動の場合、 授業ノート4の(5) 式の左辺は、速度に比例する抵抗を表すので散逸、 右辺は揺動なので、この式はそれらがつり合っていることを示しています。


丸2 平衡解が exp になっていないと、今回の結論が得られないと思われますが、 2nd FDTによると、平衡解は eS(x) になっているという事を示すものになっているのですか。
今回の証明が、Fokker-Planck eq. だからなのかもしれません。 すでに R(t) がガウス過程と仮定しているので平衡解が eS(x) になるのは仮定の範囲内なのでしょうか。

これも誤解を招くような説明だったかも知れません。 S(x) は ln Peq(x)で定義されるもので、Peq(x)については何の仮定もしていません。 後の式を簡単にするために、Peq(x) と書く変わりに S(x) を使っただけです。 分かり難かったら申し訳ありませんでした。


丸3 証明で、連続の式に従うとしました。 確率が保存する事はなぜ自明なのですか?

確率が保存するのはどこから来るのかは、難しい問題です。 確率の定義から導けるのか、仮定しないといけない事なのか、少し考えたのですが、 よく分かりませんでした。 wwwで「確率の保存」を検索してみると、なぜか量子力学ばかり出てきました。 量子力学の場合は、1粒子系で説明することが多いので、 確率と粒子数が等価だ考えられるのですが、 授業で扱っているような確率変数がXという抽象的なものだとどうしたら良いか分りません。

しかし、今の場合は、話は簡単です。 というのは、FP 方程式自身は連続の式を仮定せずに導いています。 逆に、2-2.でやった仮定が成り立っていれば、確率が保存する事が示せるのです。 プリントの書き方が良くなかったと思いますが、連続の式は今の場合は仮定でなく、結果です。 誤解を招く表現で申し訳ありません。


丸4 アインシュタインの関係式について、λkBT=D/2 は、 {マクロな物理量}={ミクロな物理量}と感じますが、この認識は正しいですか?

「マクロな物理量」というのがたくさんの粒子が関係している量と考えると、 ブラウン運動は、微粒子1個しかないので、「ミクロな量」という事になります。 いやいや、左辺のλは水分子からの抵抗なので、水分子も含めれば膨大な数になる、 と反論する人がいるかも知れませんが、 でも、そう考えると、右辺の拡散も同様に「マクロな物理量」になってしまいます。 空間のスケールを考えると、ミクロンぐらいのオーダーなので、 私のイメージでは、アインシュタインの関係式は、ミクロとマクロをつなぐというよりは、 その中間のスケールで成り立つ法則という感じです。


丸5 2nd FDT の適応限界はあるのでしょうか? 例えば、T->無限で、λ = const のとき、D->無限でないと成立しません。 ですが、ゆらぎが無限大になるのは、平衡ではよくわかりません。

2nd FDT の適応条件は、授業ノート 4 P1に仮定としてまとめてあるように、 (1)から(3)式と、 授業ではあまりはっきり言わなかったかも知れませんが、平衡解の存在です。 したがってたとえば、FP方程式の x についての2階微分の項しかない拡散方程式の場合、 系の大きさが無限大になると平衡解は存在しないので、 2nd FDTは成り立ちません。 温度が無限大の場合は、この条件は満たされていて適応範囲内です。 Dは無限大ですが、温度が無限大ならば、ゆらぎが無限大というのは、 マクスウェル分布を考えると分りやすいと思うのですが、如何でしょうか。

目標が 5 つありましたが、最後のものは時間がなかったので、対象にしません。 あと4つのうち、今回は4番目の途中までしか授業で出来なかったので、 3つ目までを30点、4つ目を10点にします。 丸1は2つ目のポイントに関連していて、10点。 丸4は3つ目のポイントに関係していて、7点です。 ただし、期限切れで0.6倍しました。


戻る

戻らない

吉森明のホームページへ