質問と回答 (採点対象)

第11回 (12月20日)

この授業は質問を採点の対象にしています。 詳しくは、 ガイダンス P6を見て下さい。

素晴らしい質問が来ました。 回答は授業でしましたが、ここで質問を公開します。

ホームページで公開不可、とは書いてなかったものを、掲載しました。 (掲載に関して間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上は私の回答です。 また、提出したのに、載っていない人は、 連絡して下さい。 採点されていない可能性があります。


質問 1. (採点結果: 42点)

授業ノート10の5ページに書かれている 「Peltier 効果」と「熱電対」についてです。

ここで示されている具体例のうち1と2に関しては内部エネルギーとエントロピーが 不可逆的な時間変化を表す一般式の仮定を満たしているので (7)式のような表現ができるのが分かり、具体例としていいと思ったのですが、 2つの箱に電線をつないだというモデルをそのまま 「Peltier 効果」や「熱電対」でも使っていた事に疑問を感じました。

5ページに書かれている図のように異なる温度の箱を電線でつないでも 電圧が生じるとは思えません。 私は熱電対を自分で作って実験で使っているのですが、 このモデルは熱電対を表していないと思います。 「温度T1の箱」と「温度T2の箱」を二つの異なる金属線で つなぐというモデルにした方がいいと思います。(接点は共有させる) 平衡状態でq_1の時間変化が0であることは変わりないので式は変わりません。 このままだと熱電対の「対」が2本の線ではなく、 箱1と箱2を指していると勘違いさせる恐れもあります。

また、2本の異なる金属(or 半導体)を使わないと T1とT2に差があっても電圧は発生しません。 同じ金属をつないだ時に電圧が生じないのは 熱電対の原理であるゼーベック効果の電圧の式を見て考えたのですが、 (23)式の係数部分が0になる場合として説明できるのではないかと思います。

Peltier 効果についても同様です。 異なる金属を接合し電圧をかけると、接合点で熱の吸収・放出が起こる効果とし て私は理解しています。 よって電圧をかける際に「電線」とは違う金属で 二つの箱をつなぎでもしない限り、Peltier 効果の話にはならないと思います。 今のままではトムソン効果の話(一つの金属上での話)になると思います。

質問は以上です。 メールで質問することに慣れていないせいか、 批判めいた書き方になっているかもしれませんが、 そういったつもりはありません。

学生の意見を積極的に取り入れて 分かりやすく講義を進めようとしている のが伝わってきて、いい講義だと思っています。 どうもありがとうございます。

この質問に対する回答は、授業でもしました。 質問された方の言う通りで、 ノート10で「Peltier 効果」と「熱電対」という表現はまったく不適当でした。 ノート12で訂正しましたが、申し訳ありませんでした。

採点ですが、12月20日は、4-1の3つの目標と、 4-2の2つ目の目標の途中までやったので、1つの目標あたり 22 点になります。 この質問は 4-1の 2 つ目の目標を完全に理解できていると分るので、22 点、さらに最初の授業で配った「採点する質問について」( ガイダンス )「さらに重要な点で間違えを指摘している。」に相当しているので、20 点加算し、 全部で42点です。


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