この授業は質問を採点の対象にしています。 詳しくは、 ここを 見て下さい。
初回から8つも質問が来て嬉しい悲鳴です(1つは未公開)。 採点は大分厳しいですが、これに懲りず今後もどしどし質問して下さい。
ホームページで公開不可、とは書いてなかったものを、掲載しました。 (掲載に関して間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上は私の回答です。 また、提出したのに、載っていない、あるいは、メールで回答が来ていない人は、 連絡して下さい。 採点されていない可能性があります。
質問 1. (採点結果: 1点)4月18日に配布されたプリントの6ページにおいて、 ‘1粒子固有状態の数>>粒子数の時(古典粒子系)、3つの統計は同じになる。 したがって、計算は最も簡単なボルツマン統計で良い’ の部分が、よく分かりませんでした。 上の場合では、ボーズ粒子であるか、フェルミ粒子であるかは関係なくなるのです か? ここは、黒板の説明から少し飛んでいたかもしれませんね。 すみません。 黒板で説明したのは、 一つの固有状態(準位)に、もし 2つ以上粒子が入らなければ、 3つの統計は同じになり、ボース粒子か、フェルミ粒子か関係なくなる ということです。 この前提、「一つの準位に2つ以上粒子が入らなければ、」というのは、 準位の数に比べ粒子の数が少なければ、成り立ちます。 この場合は、準位に比べ粒子がまばらなので、 同じ準位に 2つ以上の粒子が入る確率が低くなるというわけです。 最初のガイダンスの時にも説明しましたが、これだけの質問だと、 どれくらい理解しているか分らないので、採点のしようがありません。 しかし、授業に関係があって、日本語の意味が通るので 1点です。 質問 2. (採点結果: 3点)質問1 「縮退」という言葉の問題ですね。 量子力学 I の清水先生のプリントをもっとよく読んで、 「縮退」をどういう風に使っているか、調べれば良かったです。 ここでは、エネルギーより一般的に、 「ある演算子があって、その固有値が等しい固有状態が 2つ以上あること」 という意味で使っていました。 演算子がハミルトニアンのときは、 質問して頂いた方が書かれた意味になりますが、 授業で扱ったのは、演算子が角運動量の 2乗の場合です。 したがって、前者と後者の意味では前者になります。 もっとも、私には後者が何を言っているのかよく分かりませんでした。 質問2 まず、電子の時に1/2と-1/2の値になるのは何か、ですが、 これはスピンのある成分(普通 z 成分)の固有値 Sz です。 角運動量で m と書くやつに相当します。 授業でも説明しましたが、Sz は- S から S まで1刻みで値をとるので、 S=1/2 のときは、Sz は、-1/2と1/2の 2つしか値がないわけです。 また、光子等 S=1 は、-1,0,1の 3つになります。
「特殊な波動関数の組み合わせしかあり得ない」という量子力学のルール (プリント(21)式)は、同種粒子のときだけです。 同種粒子でなければ、そもそも粒子の入れ替えに縮退はありません。 つまり、粒子を入れ替えると、違うエネルギーになるのです。 その場合は、重ね合せは当然できませんので、このルールは有り得ません。 パウリの排他律はこのルールから導けるので、 粒子の種類が違えば、当然成り立ちません。 したがって、同じ状態に2つ以上粒子は入れます。 この日の授業のポイント(目標)は、
質問 3. (採点結果: 1点)1. 角運動量について 授業ノート1の2ページにおいて、 (縮退度)=(mの個数)=2l+1 とあり、固有値はlだけで決まってるとありますが、 それを具体的に証明するとどうなりますか? ちょっと質問が、短くて良く意味が分からなかったのですが、 宿題の問題と同じ内容ですか。 4月18日の宿題 2と同じ内容の質問であれば、 返ってきた答案を見てもらうことにして、 それでも分からない時は、また聞いて下さい。 もし、宿題をやってなければ、今からでもやってもらえれば、添削します。 私が質問の意味を取り違えていて、宿題では直接の回答になっていなければ、 また連絡を下さい。
この質問も申し分けありませんが、良くわかりませんでした。 特に、前半と後半の関係が良く分からなくて、 「縮退している」ことと「固有値は全てのスピンで等しい」 の文章のつながり具合がはっきりしません。 とりあえず、言えることは、固有値は全てのスピンで等しくありません。 授業でも言いましたが、「スピンの固有値」には、2種類あって、 S^2 と 3次元ベクトル Sの 1つの成分(普通 z 成分)です。 この 2つの演算子は交換可能なので、同時対角可能です。 つまり、同じ固有関数を持ちます。 「2s+1に縮退している」というのは、 S^2 の固有値が同じ固有関数が、2s+1個あると言う意味です。 全てのスピンではなくて、 2s+1個のスピンが同じ固有値を持つということです。 これで質問に答えたことになっているでしょうか。 まだ分からないことがあったら聞いてみて下さい。
授業中にも質問してもらいましたが、 もともとは、番号を付けて2つ書いたものをボースは + で結び、 フェルミは - で結んだものです。 しかし、通常、フェルミ粒子かボース粒子かははっきりしていることなので、 最後の絵には区別を付けませんでした。 絵を描くこと自体、便宜上というだけなので、区別する必要が無ければ、 区別しない様に書くだけで、もちろん正確には別物です。
「量子力学I講義ノート」については、まったくその通りです。 配慮が足りませんでした。 申し訳ありません。 一昨年は、角運動量はあまり時間をかけてやらなかったようなのですが、 角運動量は大変重要なので、最低私がつくったプリントに書いてあることは、 分るようにした方が良いと思います。 TEXで式を書いたものをPDFにするのは、結構です。 ただし、出来るだけ添付にはしないで下さい。 PDFをつくった場合は、メールではなく別の媒体を手で持ってきて下さい。 どんな媒体が良いかは、あらかじめ聞きにきて下さい。 この方の質問は、残念ながらどれくらい理解しているか分らなかったので、 1点にしました。 質問 4. (採点結果: 3点)質問1 スピンは実験事実を説明するために導入された、観測 される物理量ですが、実際どのような装置でどんなふうに観測 されるのかわかりません。また、スピンは内部自由度で、位置 とは別の自由度ということでしたが、たとえば、スピンの自由 度が2つだとすると、ある位置にあるコインの表裏(2通り) と考えても良いですか?(自由度が6だとサイコロ?) スピンを測るための実験として有名なものに、 Stern-Gerlachの実験があります(原島鮮著「初等量子力学」裳華房)。 授業では言いませんでしたが、スピンは磁気モーメントを持っているので、 磁場をかければ、測定できるのです。 特に不均一な磁場をかけると、 磁気モーメントの磁場の方向の成分によって、運動の方向が変わります。 SternとGerlachは、銀の原子線を不均一磁場に送り込む実験をして、 2つの方向にしか運動の変化が無いことを見つけました。 つまり、スピンの磁場方向の成分は、2つの値しか取らないということです。 詳しくは、上に上げた原島鮮の教科書を見て下さい。 それから、自由度の話は、だいたいコインの例えで良いです。 ただし、コインの裏表はたいてい確率変数として考えるのが普通で、 今の場合は、量子力学的な意味で確率と関係します。 つまり、特にスピンだけが確率的になるわけではなく、 位置も確定しないという意味で、 スピンも確率的だというわけです。 もちろん、固有状態であれば、100%で1/2か-1/2かが分ります。
そうです。スピンによるものだけです。 このフェルミ粒子-ボース粒子とスピンとの関係は、 量子力学IIIで詳しくやると思います。 採点については、スピンのポイントは、 縮退度と、S^2の固有値は粒子の種類によって決まっている、 という2つです。 残念ながら、この方はこの2つが分っているかどうか分りません。 同種粒子は、微視的状態の数え方が分っているようだったので、 先に書いたポイントの2番目の配点4点満点のうち、2点で、 参加点1点を加えて3点です。 ポイント外の採点ですが、 「 採点する質問について 」 では、4点満点と書きました。 これは、ポイント以外の事項すべてについて質問した場合に、 4点になるという意味なので、 ほとんどポイント以外に点は取れないと思ってもらった方が良いです。 ただ、この方のように、単に質問を羅列するだけでなく、 始めに自分が分っていることを書いてもらう方が、 それがポイントならば、点は高いです。 質問 5. (採点結果: 1点)
最初の時間でも言ったと思うのですが、 私は自分の講義に全然自信がないので、このようにほめてもらえると、 本当にうれしいです。 有り難うございます。 それで質問ですが、確かに「どのくらい小さいと良い」かというのは、 はっきり書いてあることは無いですね。 それは、場合、場合によるからです。 実際に具体的な数値を使って、 計算しようとすると分りやすいと思うのですが、計算精度の問題です。 つまり、ある時に 1/100 ぐらいまで誤差があっても良いとすると、 それに合わせて小さければ良いということになります。 ところが、誤差が 1/1000 以下でないと駄目だということなら、 もっと小さくないといけない、というわけです。 結局、 「どのくらい小さいと良い」かは、 必要な精度によるということです。
これは、別の方も似た質問をしていたので、 やはり分りにくかったようですね。 申し訳ありません。 とにかく速かったみたいです。 少なくともノートを取るまで待って、次に進まないといけませんね。 質問については、この方の言うとおりで、この場合に 3つの統計が同じになります。 したがって、ボルツマン統計で良いということです。 黒板で説明したように「1つの状態に 2つ以上粒子が入らなければ 3つの統計は同じ」になるので、 「1粒子固有状態の数 >> 粒子数」の時、 2つ以上はいる確率が減り、 3つの統計は同じになるというわけです。
「テキストファイル」の意味が分からなければ、 普通にメールの本文に質問を書いてもられれば、結構です。 式を書くソフトとしては、texというのが最適だと思いますが、 こちらに提出する場合は、PDFに直して下さい。 ただ、texは、書き方が面倒なので、今から勉強されるのならば、 お勧めできません。 出来れば、式は簡単な四則演算だけにしてもらうのが、良いです。 教科書やプリントの式番号を引用するとか、工夫してもらえると助かります。 ほめて頂いた割に採点が低くて申し訳ありません。 やはりどれくらい分っているかに対して、採点するので、 質問だけでなくて分っていることを書いてもらわないと、 点を付けることができません。 質問 6. (採点結果: 3点)
私の英語力が足りないせいかも知れませんが、 この英語解説で自転の意味に取れません。 intrinsic を辞書でひくと、 「本来関わっている、固有の、本質的な」としかないので、 「内部回転」ぐらいの意味しか無いと思います。 そのような回転は、古典的には自転しかないので、 だいたい自転と対応させることが多いようです。 でも、私は、普通の意味で自転するには、大きさが必要だと思います。 原子核の、そういう意味での大きさってあるのでしょうか。 正直に言えば、私にもよく分かりません。 量子力学の先生に聞いてみて下さい。 そして、その結果を教えてもらえるとうれしいです。 ただ、私は、必ずしも古典的な物理量と対応させることが 「理解する」とは思っていないので、実験で説明するのに必要ならば、 しょうがないかと納得してしまいます。 具体的な実験については、先に書きましたね。
この質問についても私には役不足です。
詳細は、量子力学IIIで、勉強してもらうことにして、
ここでは、「理論から導けるのか」、
「実験を説明するために理論が出来たのか」を考えたいと思います。
厳密には両者に区別は無いかもしれませんが、
どうも前者を強調する人が多いと思います。
しかし、よく考えてみれば、
実験と関係なく理論だけから導けるということはあり得ません。
どんな理論であっても、
2つめの質問からポイントの 1つ 「フェルミ粒子とポース粒子とは何か? それらの微視状態の数え方。(4点)」 の半分ぐらいは理解していると思えるので、2+1 の 3点です。 質問 7. (採点結果: 1点)
質問は、ボース統計とボルツマン統計の具体的な違いでしょうか。 それともなぜ違いが出てくるかでしょうか。 文面からなぜ違うかを、尋ねているように受け取れますが、 ボルツマン統計は、古典的というよりも、 計算を簡単にするための統計と考える方が良いと思います。 ただ、(粒子数一定で)温度を上げると、3つの統計は同じになるので、 一番簡単なボルツマン統計で計算するのが良いわけです。 しかし、ここで肝心なのは、一旦定義してしまえば、 定義自身は近似ではないということです。 その定義が現実の粒子系に応用できるかどうかというところで、 上の議論が必要になるのです。 ボース統計やフェルミ統計から、 ボルツマン統計が導けるわけでは決してありません。
ボース統計とフェルミ統計の他にボルツマン統計があります。 教科書にはボルツマン統計は載っていませんが、宿題に出しました。 もうすぐ解答をwwwに載せるつもりです。 グランドカノニカル分布がいつ誰がつくったかは私には分りません。 誰かご存知の人はいませんか。 最初の質問で3つの統計が「違う」とは書いてありましたが、 具体的にどう違うかを書いてくれれば、 もう少し点が上がったかもしれません。 |