この授業は質問を採点の対象にしています。 詳しくは、 ここを 見て下さい。
回答がおくれてすみません。
ホームページで公開不可、とは書いてなかったので、掲載しました。 (掲載に関して間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上に私の回答があります。
質問. (採点結果: 6点)@1次相転移はギブスの自由エネルギーG(T,P,N)の1階微分が不連続である ということでした。 例えば、T一定、N一定の下でPを1階微分すると 授業でも言いましたが、その通りです。 A2次相転移のところで 最初の質問については、全くその通りで、完全に私の間違えです。 すみませんでした。 2つめの質問は、1次相転移の場合だと思いますが、1次相転移の場合は、 1次の微分が不連続で2次の微分は発散します。 したがって、比熱は発散することになります。 2次相転移の場合は、少し複雑で、2次の微係数が不連続になる場合と、 1次の微係数が連続であるのに、2次の微係数が発散する場合も含められます。 BP−Vのグラフで@の状態から圧力を上げていき、臨界点を横切るとき(A) (∂2G/∂P2)TN = -(∂V/∂P)TN = -TKT 上の質問に対する回答にも書きましたが、 丸2のように温度を一定にして圧力を変えると、 圧縮率は不連続ではなく、発散します。 2次の微係数が発散するので、1次相転移の気がしますが、 1次の微係数である体積は連続なので、1次相転移ではありません。 授業では、「2次の微係数が不連続なのが2次相転移」と言いましたが、 それを 2次の微係数が不連続かあるいは発散するのが2次相転移という風に訂正させて下さい。 したがって、臨界点は2次相転移です。 なお、温度を一定にせずに、温度も圧力も両方変えて臨界点に近づくと、 圧縮率は発散ではなく不連続になります。今回のポイントは、
質問. (採点結果: 3点)例えば水の時、Sが不連続ですが、実験自実として、 どうしても測定できなかったSが存在するのですか? どうも慌てて書かれたようで日本語がわかりにくいですが、 エントロピーの不連続は潜熱という形ではかれます。 この不連続は、エンタルピーという量とも関係しています。 くわしくは、熱力学の本を読んでもらうしかありませんが、 特にお勧めは、培風館「熱力学=現代的な視点から」田崎晴明著 P141-144です。 ポイントがわかっているかどうか、わからないので、3点にしました。 質問. (採点結果: 4点)<1> 1次相転移でNを一定にすると (∂G/∂T)PN = -S,(∂G/∂P)TN = V が不連続になるのは理解しました。 しかしもし P,Tのどちらかを一定とした時も1次相転移と言うのでしょうか? 板書では「1次相転移では体積変化、熱の出入りを必ず行う」 と書いてありました が、これは N=Const とした時での不連続から導いたものであり、 P,T=Constの時はどうするのか気になりました。 おそらく説明が悪かったと思うのですが、 微分するときに一定にするものと、 不連続のグラフを書くために一定にするものを、 分けて考えなければなりません。 S を G の微分で導くには、PとNを一定にするのですが、 S のグラフを書くときに横軸を何にするかは、何でも良いです。 ただし、温度や圧力など、 転移が起こっても連続になる量を取る方が不連続は分かりやすいです。 つまり、いったん、P と N を一定にして微分することで S を出してしまったら、後は、横軸を P にして S を書いても構いません。 3次元のグラフを想像できれば分かりやすいかもしれません。 <2>(∂G/∂T)PN = -S,からSTグラフ、 (∂G/∂P)TN = V からPVグラフが出てくるのは分かりますが、 SPグラフ、XTグラフはどのようにして出したのですか? 多分<1>の質問と同じで、 微分するのに固定した量と、グラフの横軸が違わないといけないと、 思われているようです。 いったん微分してしまえば、あとは横軸に何をとっても構いません。 <3> 2次相転移の所で左図(省略)のように板書してありますが、 「圧力を上げる〜」の所がわかりません。 PVグラフでPとVの関係が分かっているので、 圧力の上げようがないと思います。 Vを小さくするとPは上がりますが、それは意味がありません。 「温度を上げる」の間違いではないでしょうか。 まったくそのとおりです。 完全に間違って板書してしまいました。 申し分けありませんでした。 <4> 舌足らずで申し分けありませんでした。 この「微係数」は、自由エネルギーの微係数です。 つまり、自由エネルギーの微分です。 ここで言いたかったことは、いわゆる熱力学極限をとって、 初めて自由エネルギーの微係数が不連続になるということです。 もちろん、微分は1階でも2階でもそれ以上でも構いません。 いくつかの間違えも指摘して、特に2次相転移は少し分かっているようなので、 4点です。 質問. (採点結果: 5点)(1) 1次相転移ではギブスの自由エネルギーの1階微分が不連続だとありましたが、 1階微分が全て不連続という意味でしょうか? それともどれかが不連続であればいいのでしょうか? これはなかなか良い質問です。 今、簡単のために V か N かどちらかを固定しましょう。 そうすれば、独立な変数は2つしかありません。 多くの場合は、この2つの微分が同時に不連続になります。 つまり、片方が不連続になれば他方も不連続になり、この場合は どれか1つだけが不連続になるということはありません。 もし、どちら1つだけ不連続になる場合に何がおこるか考えてみましょう。 例えば、連続な方を圧力の微分にして、温度の微分が不連続とすると、 体積は連続でエントロピーが不連続ということになります。 この場合は、縦軸を P、横軸を T にすると、相転移のおこる線は、 P に平行になります。 私の知っている限りそんなグラフは見たことがありません。 しかし、そのような特殊な場合も含めて、とにかく質問に答えると、 1つでも不連続があれば、1次相転移です。 (2) 「分配関数の形を変える」という意味がよくわかりませんが、 連続関数のパラメータをいくらいじっても微分が不連続になったりはしません。 したがって、分配関数に含まれているパラメータのどれかが、無限大になるときだけ、 微係数が不連続になる可能性があるのです。 そのパラメータが N や V で、それを無限大に持って行くという操作を「熱力学極限」といいます。 具体的に、BE転移で説明しようと思ったのですが、説明が悪くて、 余計分からなくなりましたね。 でも、とにかく、化学ポテンシャルと粒子数のグラフが体積無限大で折れ曲がることを、 説明したのは覚えていると思います。 これは特に(大)分配関数をいじった訳ではありません。 最後の2回でもう1度相転移の話をしますが、分配関数に細工をしなくても、 単に熱力学極限をとるだけで微分の不連続がでます。 1次転移はだいたい理解していることが分かるので、2+3=5点です。 |