提出物の心得

「みなさんは、何の目的で、課題レポートや試験答案を提出していますか?」

一度よく考えてみましょう。少なくとも、書き出す前と提出前には、自問することが重要です。

「先生が出せといったから」や「出すのが決まりだから」という受動的な理由であるのなら、その考えを改めてください。あまりに幼稚な考え方で、いろんな意味で良い結果を伴いません。

本来、レポートや試験答案を提出する意義は、

課題や試験の内容について、「自分がよく勉強した」、あるいは、「十分に理解している」という状況を、閲読者や採点者に知らしめることです。ですから、「自分はこんなに勉強したんだ、熟考したんだ」ということを十分にアピールして、良い評価を得るのが目的です。最終的には、単位を取得して卒業するといった、より大きな目標につながります。

良い評価が得られなければ失敗であり、費やした労力と時間は無駄になります。ましてや、マイナス評価の場合は大損です。自分のやったことが過小評価されるなど、不当な評価を受けないような注意を払わなければなりません。ここでは、最低限の守らなければならないルールやエチケットについて紹介します。

レポートや答案作成には、2段階のプロセスがある。

レポートを書き出す前や試験中に、課題内容や試験問題について調査や熟考します。これが第一段階です。レポートや答案を実際に書き出す前の準備プロセスです。書く内容をつくる重要な過程であり、大半の時間がここに充てられます。

次が、レポートや答案を実際に書きあげる作業です。この2番目のプロセスは仕上げ過程です。仕上げが不十分だと、第一過程の準備をいくら一生懸命やったとしても、そのことが読み手には伝わりません。第一過程を頑張れば頑張るほど、第二過程も頑張らないと、正当な評価にはつながらないのです。

仕上げのプロセスでは、自分のやったことや考えた内容を、的確に伝えるための策を講じます。「的確さ」こそ、高い評価を引き出す重要なポイントです。残念なことですが、みなさんはこれまであまりトレーニングする機会が少なかったのが実状だと思います。答えだけが問われることの多い現行入試制度の弊害でしょう。

的確に伝える、それ以前にエチケット

読み手が人間であることを忘れないでください。

具体的には、

1 乱雑に書かれた文字、走り書きで読みづらい字、字の大きさや改行幅の不揃いなどの不丁寧

2 名前等の書き忘れ、解いた問題番号、独自に使用する文字や記号の未定義などの書き忘れ

3 識別しづらい文字・記号の使用などの不親切

は、書かれている内容がいくら素晴らしくても、読む意欲がそがれてしまって、悪い印象を与えてしまいます。結果的に、マイナス評価になってしまいます。見た目(第一印象)は、とても重要です。

読み手が機械である場合も同じです。マークシートテストでは、用紙を折り曲げず、マークは指定された鉛筆で、枠からはみ出さないように、薄すぎず濃すぎずなど、適切な記入が求められていたはずです。

伝えるためのルール

読み手もみなさんと同じように忙しく生活していることを意識してください。

遊びに行きたい、飯が食いたい、寝たい。限られた時間を有効に使いたいと思っています。

具体的には、

1 日本語になっていない文章

2 だらだらとした表現、くどい表現、長すぎる文章

3 数式だけ、答えだけの説明のない表現や過度の省略

4 論理展開の矛盾、過度の飛躍

は、書き手の独りよがりです。読み手とコミュニケーションしたいという意思や配慮が感じられません。読み手に対して、「読むな」と書いているのと同じです。読み手が途中で読むことを止めてしまい、別のことをしたくなってしまいます。みなさんにも、電話で居留守を使いたい知人が何人かいるでしょう?そんなふうな扱いを受けては大変なことです。

的確に伝えるサービス

読み手があなたの提出物を読んでいる姿や状況を実際に思い浮かべるといいでしょう。

そして、読み手が、あなたに要求していることを想像してください。

要求されていると思うことについて、適切な文字数で書きます。

ここでいう「適切な文字数」も、読み手の立場にたって判断されます。

たとえば、何人の採点者が、何人分の答案を、どの程度の時間をかけて採点するのか? 想像してみると、どの程度にくわしく書くのかや分量が決まってくると思います。用紙が指定されている場合などは、指定項目から判断するとよいでしょう。

これらは、読み手の状況に配慮するという、書き手側の最大のサービスです。

気を惹きたい相手には、みなさん、そうしているのではないでしょうか? 

非常に高度な技です。何度も練習して磨かなければなりません。

解析力学演習では

上述のエチケットとルールは、最低限の心掛けなければならない事項です。サービスは、高い評価を得るための上級テクニックです。

解析力学演習では、エチケットとルールが守られているかを厳格にチェックします。別表の通り、守られていないレポートや答案は減点します。場合によっては、マイナス点がつくこともあります。

「何も減点することはないじゃないか!やり過ぎだ!注意だけでいいじゃないか? 内容だけで評価して欲しい」と反論もあるかと思います。ただ、これまでの経験からいうと、何度注意しても直らない人が多いのです。そういう人には、減点された痛感さを通してでも、提出物の仕上げプロセスの大切さについて、精根理解して欲しいのです。

半年後、みなさんの作成するレポートや試験答案の体裁は、世間一般で通用するレベルかそれ以上になっていることでしょう。がんばりましょう。

  平成19年3月14日     解析力学担当    松井淳

減点項目と点数の表

区分 内容 点数
エチケット 乱雑に書かれた文字、走り書きで読みづらい字、字の大きさや改行幅の不揃いなど不丁寧 −20点
名前等の書き忘れ、解いた問題番号、独自に使用する文字や記号の未定義などの書き忘れ

1ヶ所につき

−5点

識別しづらい文字や記号の使用などの不親切

1ヶ所につき

−5点

ルール 日本語になっていない文章

1ヶ所につき

−10点

だらだらとした表現、くどい表現、長すぎる文章

1ヶ所につき

−5点

数式だけ・答えだけの説明のない表現や過度の省略。過度の論理飛躍。

1ヶ所につき

−10点

論理展開の不明瞭、矛盾。

1ヶ所につき

−10点

※点数は、満点が100点の場合の減点数です。

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