(あ)式運営法

某NPO法人(あ)の運営方法。

(あ)について

Webサイトに行けばいろいろ書いてあるが、野外活動・国際交流を通じた青 少年健全育成のためのボランティア団体。 ボスの強力な企画・立案・準備・運営能力により、数々の巨大な計画を成功さ せてきた。

キーワード:一見無謀、とても楽観的、いろいろな面で適当、現実的、人材重 視、素人

何が違うのか

常識から考えて、絶対成功しそうにないプロジェクトがなぜか成功する。

前提となる立場

全員素人である。 参加しているスタッフは基本的に有志によるボランティアである。 厳しい競争を勝ち抜いてきた粒ぞろいではないので、高望みはしない。 期待をしないのではなく、無理をさせない。 失敗しても、素人だからしょうがない。 誰にでも始めはあって、そこからしか始まらない。 スキルなどは現場で子ども達と一緒にリアルタイムに身に付ける。

だからといって、始めから何の対策もとらないわけではなく、 トップは2重3重の予防策をある程度考えておく。 何か起きない事はないという意識をもって、失敗のときの対応も考えておく。 重要なのは、何か起こっても慌てずに対処する。

本人に去る気がない限り、スタッフは原則受け入れる。 その人に出来ることをさせて、活躍の場を与える。 誰にでも一長一短あり、結果の平等はありえない。

スタッフそれぞれ違う意見を持ちながら目標に向かうこともある。 基本的なことは一致しないといけないが、どうでもいいことなら放っておく。 重要なことは計画の遂行で、計画に参加する気があるのなら 文句もぶつけながら一緒にがんばる。

最初から完璧な計画、結果を意識しない。 楽観的完成イメージを考え、それに向かって短期的な視点(今必要な作業、用 意)で準備をすすめる。 ただし、全体統括者だけは経験に基づき、各種予防策、裏メニュー、長期的な 計画と、スタッフのバックアップを考えておくが、あまり表に出さない。 失敗しそうな危ない個所があっても致命的な障害にならない限り、 教育のために放っておくこともある。

結果として失敗したとしても、それはそれでOK。 挫折も重要な経験。失敗から学ぶことも多い。 しかし、計画段階で遂行が困難と判断したら直ちに中止する。 前に述べたように、出来ないことはやらない。

不思議なことに大抵この方法はうまくいく。 美しい目標(明確な完成予想図)がないので、遂行=成功。 統一の明確な目標がないので、遂行すればそれぞれがそれぞれに考えて勝手に 満足する。

じつは、最大の功労者はトップだが、それを表に出さないことが重要。 結果についてのコメントもなるべく出さない。 スタッフは、仕事の大小に関わらずとりあえず計画が成功したことで自信を持 ち、そのうち成長して仕事も覚えていく。 その姿を見て裏方の喜びとする。

よく似た例

Extreme Programming : 人間中心ソフトウエア開発手法

共通点:素人からの出発、簡単な設計、作りながら考える、無理はしない など。経験をつんで、行き着くところは同じということ?


桜井雅史: E-mail : m.sakurai@cmt.phys.kyushu-u.ac.jp
Web page : http://www.cmt.phys.kyushu-u.ac.jp/~M.Sakurai/
Last modified: Sat Nov 03 04:22:58 2001