• 日時: 4月26日 (火) 15:00〜
  • 場所:第三講義室
  • 講演者: 和田浩史 (京大基研)

要旨:

溶液中に溶質の勾配があると、その溶液と接する固体壁近傍には勾配に 比例した 流れが生じる(浸透流)。固体がコロイド球のように溶液中に分散して いる場合 にはこの流れはコロイドの泳動を引き起こす。この現象は拡散泳動 (diffusiophoresis)として古くから知られており、Derjaguinや Andersonによって理論的基礎付けが行われた。近年ではmicrofluidicsなどへの 応用も盛んである。セミナーではAndersonの1989年の論文にもとづいて拡散泳動の基本的事柄 をレビューする。もとの理論は希薄溶液に関するものであるが、その議論の道筋をよく見直してみると、溶質の濃度が高い場合にも拡張できる可能性に気づく。このこと自体はほんのささやかな+αに過ぎないが、セミナーではそのあたりの議論を通じて泳動現象全般に関する双方の理解を深めることを目指したい。