2007年に読んだ本(物理以外、主に小説)


2002年以前に読んだ大江健三郎の小説
2003年と2004年に読んだ本
2005年に読んだ本
2006年に読んだ本
2つのスピカ
1月9日 瀬戸内晴美 家族物語(上)

この上に書いてある日付は、読み終わった日付で、読み始めたのは去年からだが、 読み終わったのが年明けなので、ここに書いてある。 瀬戸内晴美の味わいというのは、いわゆる「ホームドラマ」であって、 しかも、登場人物の倫理観がおかしくなっている話にあるようだ。 日常生活が淡々と続くテレビの「ホームドラマ」とは違って、 設定自体は日常的で起こる事件もありがちな、 きっと良くあることなんだろうけれど、でもやはり起こると当人たちは大変だという、 そういう展開を書く。 この長編もまさにそれで、何でも題材になると言うことだろうか。

3月13日 瀬戸内寂聴 源氏物語

「家族物語」の下巻を探したのだが、絶版になってどこでも手に入らない。 上巻を買った時に下巻も買えば良かった。 仕方がないので、「源氏物語」を読む。 これが結構面白くて、原本に挑戦した事もあるのだが、 「アンナカレーニナ」と「源氏物語」は、何度も挑戦して挫折した本だ。 良く、古典は絶対原本を読んだほうが良いという意見を聞くが、 私は口語訳でも優れた訳者なら、良いと思う。 何か、恋愛話が中心だと思っていたが、怪奇現象も結構あるのですね。 しかも、その扱いが今とだいぶ違っていて、恋愛話との境があまりない。 生霊とかが、日常の延長で書かれていて、 当時はそんなに差がなかったのだろうか。 そういうところが、水木しげるに似ていると思った。 もっとも、ダイジェスト版らしいので、 淡々としているのはそのせいかもしれない。 それにしても、筥崎宮が出て来たのはびっくりした。

4月26日 瀬戸内寂聴 源氏物語巻一

なんでも「文化勲章」記念だそうで、上のダイジェスト版と違い、 長いやつを文庫化したものだ。 ダイジェスト版を先に読んだのが正解で、 出てくる女の人がこの先どうなるのかある程度分かっていると面白い。 長編ならでは楽しみだろう。 そういうところは、今の長編とそんなに変わらないのだが、やっぱり変な話だ。 どう変なのかは、うまく説明できないけど、 ちょっと変わっているという印象を受ける話だ。

8月22日 瀬戸内寂聴 源氏物語巻二、三

気がついたらいつの間にか二巻を読み終わっていて、 二巻は何時読み終わったか分からない。 三巻は須磨に流される話で、面白いのは明石の君の父親だ。 京都から離れた所に住んでいるのに、 娘は必ず京都の偉い人と結婚すると信じて疑わない。 実際そうなるのだけれど、そういう人物を思いつく紫式部も面白い人だ。

12月18日 瀬戸内寂聴 源氏物語巻四

この巻の何と言ってもトピックスは、九州にいた夕顔の娘が京都に戻り、 源氏のところにいた以前の女房と会うところだ。 今となってはありふれたエピソードだけども、 ドラマチックなところはやはりそれなりに、文章も冴えるようで、面白い。


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